SESエンジニアが自社で評価されない理由|常駐先との評価ギャップ
常駐先では設計を任され、若手の相談にも乗り、プロパーの方から「いてくれて助かる」と言われている。それなのに自社に戻ると、評価は「B」のまま。面談で話す相手は、自分の仕事を一度も見たことがない営業担当。
SESや受託常駐の評価が伸びにくい最大の理由は、能力ではありません。評価する人と、一緒に働いている人が分かれているという構造です。この記事では、その構造と、現場の実績を届ける方法を整理します。
- 評価者が現場を見ていない構造がもたらす影響
- 単価と評価が連動する仕組み
- 常駐経験のうち市場で強く評価される部分
- 現場の実績を自社と外に届ける方法
評価する人が現場を見ていない
自社の評価者が持っている情報は、次の3つ程度です。
- 常駐先からの定期的なフィードバック(あれば)
- 月次の報告書や稼働実績
- 営業が現場を訪問したときの印象
このうち、技術的な内容を含むのは1つ目だけで、それも「問題なく稼働しています」で終わることが少なくありません。あなたが設計をリードしたか、言われた実装をしていたかは、自社側からは区別がつきません。
一方、プロパーの社員は同じオフィスで働き、上司が日々の仕事を見ています。同じ会社の中でも、常駐組だけ情報量が圧倒的に少ない状態に置かれます。
評価より先に、単価で決まっている
もう一つの現実は、評価の前に単価で処遇の枠が決まっていることです。
SESの売上は「単価 × 稼働月数」です。単価は、現場に入る前の商談で決まります。つまり、入った後にどれだけ活躍しても、その期の売上は変わりません。会社から見ると、評価を上げても原資が増えないという状況になります。
単価が上がるのは、次の契約更新のタイミングです。そこで交渉するのは営業であり、現場での評価が営業に伝わっていなければ、単価は据え置かれます。ここが多くの人が見落としているポイントです。現場での評価を、単価交渉の材料として営業に渡す必要があります。
商流の深さが年収に与える影響はエンジニアの給料はなぜ会社によってここまで違うのか|利益構造と単価の裏側で詳しく扱っています。
常駐経験のうち、市場で強く評価される部分
採用側の視点で言うと、常駐経験には明確な強みがあります。むしろ、自社開発しか知らない人にはない要素です。
- 短期間で未知のシステムと業務を理解して立ち上がる力
- 自分でコントロールできない条件の中で成果を出した経験
- 複数の現場、複数の業界、複数の開発文化を見てきたこと
- 顧客や他社のメンバーと日常的に折衝してきた経験
「いろいろな現場を見てきた」は、うまく語れば強力な武器です。 ただし、現場名を並べるだけでは伝わりません。
言い換えの例です。
- 「3社の現場に入りました」→ 業種も開発手法も異なる3つの環境で、いずれも1か月以内に戦力化した
- 「言われたものを作っていました」→ 曖昧な要件を持ち帰り、確認事項を整理して仕様を確定させてから実装した
- 「保守をしていました」→ ドキュメントのない既存システムを読み解き、改修可能な状態に整理した
- 「プロパーの方と調整していました」→ 発注側と開発側の認識差を早期に検出し、手戻りを防いだ
現場の実績を届ける方法
1. 常駐先からの評価を文字で残してもらう
口頭の「助かっています」は自社に届きません。定期報告やフィードバックシートに、具体的な内容を書いてもらえるよう依頼します。「次の更新の参考にしたいので、もし可能なら書面でいただけますか」という頼み方が自然です。
2. 月次で営業に技術的な内容を送る
営業は技術が分からないので、現場の価値を把握できません。月に1回、3行でいいので「今月は〇〇の設計を担当し、△△を決めました」と送ります。単価交渉の材料になります。
3. 自分用の実績メモを作る
現場を離れると、何をしたか思い出せなくなります。担当した機能、判断したこと、数字を、現場ごとに残しておきます。職務経歴書を書くときに効きます。書き方はエンジニアの職務経歴書、採用側は最初の30秒でここを見ているにまとめました。
4. 更新のタイミングで単価を確認する
契約更新の前に、営業に「今回の単価はどうなりそうですか」と聞きます。上がらない理由が現場評価にあるのか、商流にあるのかで、打ち手が変わります。
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よくある質問
Q. 常駐先に引き抜かれるのは可能ですか A. 契約上の制限があることが多く、直接の打診は双方にリスクがあります。まずは自社の契約条件を確認してください。制限期間が過ぎてからなら、選択肢として成立するケースもあります。
Q. 現場が変わるたびに実績がリセットされる感じがします A. 積み上がっているのは技術そのものより、立ち上がりの速さと適応力です。ここは現場をまたぐほど強くなります。「未知の環境で短期間に戦力化した回数」として語れば、リセットではなく蓄積になります。
Q. 自社に技術を評価できる人がいません A. その場合、社内で評価を上げるのは構造的に難しいです。単価交渉の材料を営業に渡すことと、外の相場を確認することの2つを並行するのが現実的です。
まとめ
SESで評価が伸びにくいのは、評価者が現場を見ていない構造と、評価より先に単価で枠が決まる仕組みによるものです。
- 自社側からは、設計をリードしたのか実装だけかが区別できない
- 単価は入場前に決まる。上げられるのは更新のタイミング
- 常駐経験の強みは、短期間で未知の環境に適応してきたこと
- 現場の評価は文字にして、営業と自分の実績メモの両方に残す
まずは今月、営業に3行の技術報告を送ってみてください。次の更新交渉の材料になります。