勉強しているのに年収が上がらないエンジニアへ|学習を成果に変える見せ方
平日の夜と週末を使って技術書を読み、手を動かし、新しい言語やフレームワークを覚えた。それなのに、年収は去年とほとんど変わらない。勉強が足りないのかと思って、さらに時間を増やす。
この循環に入っている方は少なくありません。私が採用面接で見てきた限り、学習量と年収の相関はかなり弱いです。相関が強いのは、学んだことが仕事の中で何に使われたかのほうです。この記事では、その接続の作り方を書きます。
- 学習が評価に接続しない3つのパターン
- 会社が対価を払っているものの正体
- 学んだ技術を社内の成果に変える手順
- 採用側が学習歴をどう読むか
学習が評価に接続しない3つのパターン
1. 学んだ技術を使う場が社内にない
Goを勉強してもPHPしか書かない職場なら、評価には反映されません。技術書を10冊読んでも、評価シートに書く欄がありません。これは本人の問題ではなく、環境とのミスマッチです。
2. インプットで止まっている
読んだ、動かした、理解した。ここまでは学習ですが、会社が対価を払うのは成果に対してです。知識そのものではなく、その知識で何が改善されたかが評価の対象になります。
3. 会社の給与テーブルに、技術力を反映する仕組みがない
そもそも等級が年次で決まる会社では、何を学んでも給与は変わりません。この場合は学習の問題ではなく制度の問題です。構造はエンジニアの給料はなぜ会社によってここまで違うのか|利益構造と単価の裏側にまとめました。
会社が対価を払っているのは「解決した問題」
身も蓋もない話ですが、会社が給与として払っているのは、知識ではなく解決された問題です。
同じReactの知識を持っていても、次の2人では評価が変わります。
- Aさん:Reactを学び、個人でアプリを作った
- Bさん:Reactの知識を使い、社内の管理画面の表示を3秒から0.8秒に改善し、問い合わせ件数を月20件減らした
Aさんの学習量が少ないわけではありません。ただ、Bさんは学習を会社の課題に接続しています。評価されたいなら、学んだ直後に「これはうちのどの問題に効くか」を1つ探すのが近道です。
| 学んだこと | 社内で接続できる問題の例 |
|---|---|
| テスト設計 | リリース後の不具合件数、手動テストの時間 |
| SQL・DB設計 | 遅いクエリ、バッチの実行時間 |
| CI/CD | デプロイ所要時間、リリース頻度 |
| 監視・可観測性 | 障害の検知漏れ、原因特定までの時間 |
| セキュリティ | 脆弱性診断の指摘件数、対応の所要時間 |
学習を成果に変える手順
1. 社内の困りごとを3つ書き出す
遅い、面倒、よく壊れる。この3つの観点で、身の回りの困りごとを挙げます。学ぶ前に困りごとを持っておくと、学習の方向が定まります。
2. 学んだ技術で一番小さく解決できるものを選ぶ
いきなり基盤を刷新しようとすると通りません。1つの画面、1つのバッチ、1つの手順。範囲を小さくすると着手しやすく、効果も測りやすいです。
3. 着手前の数字を取る
所要時間、件数、エラー率。何でも構いませんが、前の状態を記録しておきます。ここを飛ばすと、改善しても証明できません。
4. 結果を短く共有する
チームのチャンネルに3行で書きます。「この処理が8分から40秒になりました。原因はインデックス不足でした」程度で十分です。記録が残ると、評価面談で使えます。
この流れを半年で2〜3件回せば、評価面談で話せる材料が揃います。伝え方の型は評価面談で損するエンジニアの共通点|成果が伝わらない本当の理由にまとめています。
採用側は学習歴をどう読むか
面接で「勉強しています」と言われたとき、採用側が確認するのは学んだ内容ではなく、学ぶ理由と使い道です。
評価が上がるのは次のような話し方です。
- 「バッチの遅さが慢性的な問題だったので、実行計画の読み方から学び直しました。結果、主要なバッチを3本改善しました」
- 「障害の原因特定に時間がかかっていたので、可観測性を学んで監視を作り直しました。検知から特定までが平均40分短くなりました」
逆に評価が上がりにくいのは、資格や書籍名を並べるだけの説明です。何の課題に向けた学習かが見えないと、知識としか受け取られません。資格の扱いはエンジニアの資格は意味ない?採用側が評価する資格・しない資格の線引きで扱っています。
なお、今の会社で使い道がない技術を学んでいる場合、その学習は転職市場でのみ価値になります。 これは悪いことではありません。ただ、社内評価が上がらないことに悩むより、外で使える形にするほうが筋が通ります。
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よくある質問
Q. 個人開発のアプリは評価されますか A. 転職市場では材料になります。ただし「作った」より「何を判断したか」が見られます。技術選定の理由、詰まった箇所とその解決、運用してみて分かったことを語れると強いです。社内評価には基本的に接続しません。
Q. 業務で使えない技術は学ぶ意味がないのでしょうか A. あります。選択肢を広げるという意味では、むしろ業務外の学習のほうが効きます。ただ、それが今の会社での昇給につながらないことは事実として分けて考えたほうが、無用な自己否定を避けられます。
Q. 勉強する時間が取れません A. 業務の中に学習を埋め込むのが現実的です。今抱えている遅い処理や面倒な手順を1つ選んで、それを直すために必要なことだけを学ぶ方法なら、業務時間内で完結します。
まとめ
学習量と年収が連動しないのは、会社が知識ではなく解決された問題に対価を払っているからです。
- 学んだ技術を使う場が社内にないと、評価には反映されない
- 学んだ直後に「うちのどの問題に効くか」を1つ探すと接続する
- 着手前の数字を取っておくと、改善を証明できる
- 採用側は学んだ内容より、学ぶ理由と使い道を見ている
次に何かを学ぶときは、先に社内の困りごとを3つ書き出してから始めてみてください。学習の効き方が変わります。