評価面談で損するエンジニアの共通点|成果が伝わらない本当の理由


半年間しっかり働いたのに、評価面談が30分で終わり、結果は「期待通り」。何を言えばよかったのか分からないまま次の期が始まる。そんな経験はないでしょうか。

私は評価を付ける側を何年かやってきましたが、同じくらい働いた2人でも、面談での話し方だけで評価が1段階変わることが実際にあります。不公平に聞こえるかもしれません。ただ、評価者が見られる範囲には限りがあり、そこを埋めるのが面談だと考えると、準備の差が結果の差になるのは自然なことです。

📌 この記事でわかること
  • 評価する側が実際に持っている情報の少なさ
  • 損をする話し方の4つの共通点
  • 評価に効く記録の残し方
  • 面談で使える伝え方の型
評価面談の場面のイメージ

評価者は、思っているより見ていない

前提として知っておいてほしいのは、評価者が把握している情報は驚くほど少ないということです。

マネージャーが10人のメンバーを見ているとして、各人の半年分の仕事のうち、実際に認識しているのは大きめの案件が2〜3件、あとはチケットのタイトルと、目についたやり取りくらいです。悪意ではなく、物理的にそうなります。

だから評価面談は、評価者が持っていない情報を渡す場です。ここで何も渡さなければ、評価者は自分が覚えている2〜3件だけで判断します。

損をする話し方の4つの共通点

評価が伸びない人の話し方には、はっきりした傾向があります。

1. 作業を時系列で並べる

「4月はこの機能を作って、5月は改修をして、6月は障害対応で……」という話し方です。評価者側からすると、忙しかったことは伝わりますが、何が良くなったのかが分かりません。

2. 主語がチームになる

「チームで移行を完了させました」と言われると、評価者は「この人は何をしたのだろう」と考えます。謙虚さは美徳ですが、評価面談では自分の担当範囲を明示しないと拾われません。

3. 難しさを説明しない

「ログイン機能を作りました」だけだと、難易度が伝わりません。既存の認証基盤との整合を取る必要があった、移行期間中は両方動かす必要があった、といった制約があったなら、それを言わないと「普通の実装」として処理されます。

4. 数字がない

「かなり速くなりました」は、評価シートに書けません。「3秒が0.8秒になりました」なら書けます。評価者は上位者に説明する必要があるので、書ける形を渡すと通りやすくなります。

面談前に材料をまとめる場面のイメージ

面談に効く記録の残し方

面談の前日に半年分を思い出すのは無理です。記録を残す習慣があるかどうかで差がつきます。

私が勧めているのは、月末に5分だけ使って3行書く方法です。

  • 今月いちばん効いた仕事は何か
  • それで何が変わったか(数字があれば数字で)
  • 自分が判断したのはどこか

半年で18行たまります。面談前にこれを読み返せば、話す材料が揃います。ツールは何でも構いません。個人のメモでも、日報の使い回しでも大丈夫です。

数字が取りにくい仕事の場合は、着手前の状態をメモしておくのが有効です。問い合わせ件数、手作業の時間、障害の頻度。後から比較できる形にしておくと、地味な仕事も評価の土俵に乗せられます。この考え方は地味な貢献が評価されないエンジニアへ|ドキュメント整備を例にで詳しく扱っています。

伝え方の型

面談で使いやすい順番は次の通りです。1件あたり1分程度で話せます。

  1. 何が問題だったか:「デプロイに毎回40分かかっていて、リリースが週1回に制限されていました」
  2. 自分が何を判断したか:「全体の自動化より先に、時間を食っているテスト実行の並列化から着手すると判断しました」
  3. 何が変わったか:「40分が12分になり、週3回リリースできるようになりました」
  4. 次に何をするか:「残りの手動確認を減らせば、さらに5分削れる見込みです」

この型が効くのは、評価者がそのまま上位者に説明できる形になっているからです。評価者を説得するのではなく、評価者が説明しやすい材料を渡すと考えると、準備すべきものがはっきりします。

昇給まで踏み込んで話すつもりなら、比較材料も要ります。用意の仕方はエンジニアが昇給交渉前に用意すべき材料|感情ではなく比較で話すにまとめました。

準備しても変わらなかった場合

ここまでやっても評価が動かないことはあります。その場合、考えられるのは次のどれかです。

  • 評価の上限が等級で決まっていて、今の等級では上がらない
  • 昇給の原資が配分済みで、期の途中では動かせない
  • 評価者に裁量がなく、さらに上で決まっている

いずれも本人の準備不足ではありません。ここを見極めずに「自分の伝え方が悪いのか」と考え続けると消耗します。面談で「次の等級に上がるための条件は何ですか」と聞いて、具体的な答えが返ってこないなら、制度として整備されていない可能性が高いです。

その場合は、同じ役割が外でどう評価されるかを一度見てみると、自分の現在地がはっきりします。

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よくある質問

Q. 自己主張が強いと思われないか心配です A. 事実と数字で話す限り、自己主張ではなく報告として受け取られます。評価者は上位者への説明材料を探しているので、材料を渡す姿勢は歓迎されます。避けたいのは、他人との比較や不満から入ることです。

Q. 期の途中で評価の話をしてもいいですか A. むしろ推奨です。期末に初めて聞く話は、評価者にとって確認が取れません。中間の1on1で「この仕事はどう評価されますか」と確認しておくと、期末に認識がずれません。

Q. 記録を残す時間が取れません A. 月末に5分で3行だけで十分です。完璧な記録を目指すと続きません。いちばん効いた仕事を1つ選んで、変化と自分の判断を書くだけにしてください。

まとめ

評価面談で損をするのは、働きが足りないからではなく、評価者に渡す情報が足りないからです。

  • 評価者が把握しているのは、半年のうち2〜3件程度
  • 時系列の作業報告、チーム主語、難しさの省略、数字なしが損をする4つ
  • 月末に3行だけ記録すると、半年で18件の材料になる
  • 問題、判断、変化、次の一手の順で話すと、評価者が上に説明しやすい

今月末に、いちばん効いた仕事を3行だけ書いてみてください。次の面談の質が変わります。

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