同じスキルでも待遇が違うのはなぜ?評価してくれる会社との決定的な差


勉強会や前職の同僚との飲み会で、自分と同じくらいの経験年数、同じような技術スタックの人が、年収で150万円以上違うと知って戸惑った。そんな経験はないでしょうか。

私は採用と評価の場に関わる中で、このズレを何度も見てきました。そして断言できるのは、待遇差の大半は本人の能力差ではなく、会社側の事業構造と評価設計の差だということです。この記事では、その差がどこで生まれるのかを整理します。

📌 この記事でわかること
  • 同じスキルでも待遇が変わる3つの構造的な理由
  • 給与レンジが会社ごとに決まる仕組み
  • 採用側が「評価してくれる会社」を見分けている観点
  • 求人票と面接で待遇差の原因を確認する方法
環境の違う2つのデスクのイメージ

待遇差を生む3つの構造

同じ技術力の人が別々の会社にいるとき、年収差はおおむね次の3つで説明できます。

1. 事業がエンジニアの価値を直接回収しているか

自社サービスを持つ会社では、エンジニアが作ったものが売上に直結します。改善で継続率が1%上がれば、その分が会社の利益になり、原資として戻ってきます。

一方、受託や常駐の比率が高い会社では、売上は契約単価で決まります。エンジニアが優秀で工数を半分にしても、契約が人月なら売上は増えず、むしろ減ることさえあります。ここが最も大きな差です。同じアウトプットでも、会社が回収できる金額が違うのです。

2. 給与レンジが等級で決まっているか、前職給与で決まっているか

等級制度が整っている会社では、等級ごとに給与レンジが決まっていて、そこに人を当てはめます。この場合、入社時の年収が低くても、等級が上がれば追いつきます。

制度が弱い会社では、入社時の提示額が前職給与を基準に決まり、その後は毎年数%の昇給が積み上がるだけです。この方式だと、最初の提示額の差が10年後もそのまま残ります。 同じ会社の中でさえ、入社年次によって同じ仕事で100万円以上の差が生まれます。

3. 昇給の原資がどこから出ているか

昇給には原資が必要です。原資は粗利から出ます。粗利率が10%の受託と、粗利率が60%のSaaSでは、同じ人数を抱えていても配れる額が違います。

上司が「君の評価は高い」と言いながら昇給が数千円で止まるとき、上司が嘘をついているとは限りません。評価は高くても、配れる原資がないという状況が実際にあります。詳しい構造はエンジニアの給料はなぜ会社によってここまで違うのか|利益構造と単価の裏側にまとめました。

採用側から見ると、待遇差はこう映る

採用に関わっていると、「この人は前の会社の相場で値付けされていたんだな」と感じる場面がよくあります。

たとえば、運用改善で障害件数を大きく減らした経験を持つ人が、年収450万円で応募してくる。同じ経験を、別の会社では年収700万円のポジションで募集している。能力が違うのではなく、いた会社の給与テーブルが違うだけです。

採用側が見ているのは、今の年収ではなく次の3つです。

見ている観点具体的に確認すること
再現性その成果を別の環境でも出せるか。運任せの一発ではないか
説明の粒度何が課題で、どう判断し、結果どう変わったかを自分の言葉で語れるか
役割の広さ実装だけか、設計・調整・運用まで見ていたか

今の会社の評価が低いことと、市場での評価が低いことは別物です。ここが分かれるケースは社内評価が低くても市場価値は高い人の共通点で詳しく書きました。

求人条件を読み比べる場面のイメージ

「評価してくれる会社」との決定的な差

待遇の良い会社に共通するのは、給料が高いことそのものではなく、エンジニアの仕事が制度上どう扱われているかです。

評価してくれる会社では、次のようなことが起きています。

  • 運用改善やレビュー、育成が、評価シートに項目として存在する
  • 等級ごとの期待役割が文書化され、本人が読める場所にある
  • 昇給の判断が、上司の裁量だけでなく制度に紐づいている
  • 給与レンジが公開されているか、少なくとも面接で説明される

逆に、待遇が伸びにくい会社では、これらが「上司が見ていてくれる」「頑張れば報われる」という曖昧な言葉に置き換わっています。悪意があるわけではなく、単に制度を作る余力がないことが多いです。ただ、結果として本人の待遇は伸びません。

この構造が続くと優秀な人から消耗していきます。その過程は評価制度が弱い会社で優秀なエンジニアほど消耗する理由に書いています。

求人票と面接で差を確認する

転職するかどうかは別として、外の会社がどうなっているかを見ておくと、自分の今の位置が分かります。確認しやすいのは次の点です。

求人票で見る

  • 給与欄が「経験に応じて決定」だけで終わっていないか。レンジの幅と、その幅がどう決まるかが書いてあるか
  • 等級や役割の記述があるか。「テックリード」「シニア」などの呼称の中身が説明されているか
  • 事業の説明で、そのエンジニアが何の数字に効くのかが読み取れるか

面接で聞く

  • 「このポジションの等級と、上の等級に上がるときの基準を教えてください」
  • 「評価は誰が、どういう材料で決めますか」
  • 「昇給の実績として、直近で上がった方はどのくらい上がりましたか」

これらは失礼な質問ではありません。むしろ制度が整っている会社ほど、具体的に答えられます。答えが曖昧な会社は、入社後も曖昧なまま評価されることになります。見分け方は正当に評価してくれる会社の見分け方|求人票と面接で見るポイントにまとめました。

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よくある質問

Q. 待遇の良い会社に移れば、それだけで年収は上がりますか A. 構造が違う会社に移れば上がる可能性は高いですが、同時に求められる役割も変わります。粗利率の高い会社ほど、成果と責任の範囲が明確に問われます。年収だけでなく、期待役割が自分の志向に合うかを確認してください。

Q. 今の会社で待遇を上げる交渉は無駄でしょうか A. 無駄ではありませんが、原資の上限は超えられません。等級制度があるなら等級を上げる交渉、なければ役割の再定義から入るほうが現実的です。制度自体がない会社では、交渉の土俵がないこともあります。

Q. 年収レンジが公開されていない会社は避けるべきですか A. 公開していない会社が悪いわけではありません。ただ、面接で聞いたときに等級と基準を具体的に説明できるかどうかは判断材料になります。答えられない場合、入社後の昇給も裁量で決まる可能性が高いです。

まとめ

同じスキルでも待遇が違うのは、能力差ではなく会社側の構造差であることがほとんどです。

  • 事業がエンジニアの価値を直接回収できるかで、原資の大きさが変わる
  • 給与が等級で決まるか前職給与で決まるかで、10年後の差が変わる
  • 評価してくれる会社は、運用改善や育成を制度上の項目として持っている

今の待遇が妥当かどうかは、社内の基準だけでは判断できません。外の求人を2〜3社分読んで、同じ役割がどのレンジで募集されているかを見るだけでも、自分の位置がかなりはっきりします。

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